君に向かう舵

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僕にはとうに 賽は投げられていて 見上げながら 時の流れに身を任せた 荒波がきたとき 心の舵を精一杯【きる】 右側にきるくせがある 左側には心ってやつがあるから 舵を【とる】ときは 意味合いが少し違うんだよ 日常のなかで 視界良好に波の穏やかな方へ どちらも自らの 舵を握りしめている 君の舵はとれない ただ僕が 舵をとることにつかれて つい左側に沈む手前 たくさんのひとと 君が右側に全体重をかけて いたむ手を離すことなく 僕がてをのばす時間をくれる 右側にはたくさんの感情を 左側には決して 無防備で倒れない強さを 左側に倒れた人の手を 幾度となくつかんでは すりぬけてきた 道は一本ではないのに いつのまにか そこからはみ出さぬように 一歩、一歩をあるく 左側の世界は 楽そうかもしれないよ それでも ぼくは大切なひとが 左側に舵をきるならば 致命傷ってやつには ならないように ひとより おおく転んだ ひとより おおく不器用だ そんなぼくは 転ばない方法よりは うまく着地ができるようになった きみのおかげで 着地の方法ならば 一緒に考えよう 君がどうしても 心と一緒に左側の世界に 倒れたくなったら 僕をよんでよ きみを引き上げる力より 掴んでいる強さなら自信がある 君が手をのばしてくれるなら 僕は全ての力で きみが本当に 向きたい方角に 舵を廻そう 水平線のむこうなど知らない この見えるさきに 笑っていたら いいじゃないだろうか 不器用なきみへ 手をのばして 呼吸をいとおしく大切にしていて ただそれを ぼくは目印のようにして 当たりまえそうに きみの前に現れるよ 決して完璧でも 煌めく僕じゃなくても がっかりしないで 笑える秘訣を一緒に探そう 泣いていい場所はもうあるよ 甘えたがりの 甘え下手なきみへ。
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