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「ん…いつも通りだよ」
鞄を置いて、手を洗いながらそう返事する。
「あら、そう?でもなんだか嬉しそうな顔してるからいいことあったのかなって」
「えっ」
思わず自分の顔を触る。
そ、そんなに顔に出てる…?
「まぁ、いっか。今日は澪が大好きなカツカレーだから楽しみにしててね」
「まじ!?やった!母ちゃんありがと!」
「うふふ。ほら、まだ時間あるから、お父さんに挨拶してゆっくりしてて」
棚にある父ちゃんの写真を指さした。
短髪で目がぱっちりしている若い男性。
そういえば、昔言われたことがあった気がする。
俺の目は父親譲りだって。
俺のやっていたことがばれたあの日から、母ちゃんの中でもいろいろ吹っ切れたらしい。
見ると悲しくなる上DV元夫に壊されないようにと、今までずっと引き出しに隠していたその写真を飾ったのだ。
母ちゃん曰く、ベストショットらしい。
確かに、すごくいい笑顔をしてる。
それから毎日、俺と母ちゃんは父ちゃんに挨拶をしてる。
「ただいま、父ちゃん。俺と母ちゃんは今日も元気だよ」
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