遠い遠い昔の

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「ねぇねぇ、知ってる?もっと仲良くなりたい人とはね、ちゅーするんだって!」 その子は突然そう言ってきた。 僕は’ちゅー’なんて言葉が出てきて顔を真っ赤にして思いっきり固まる。 「?どしたの?」 対する相手はきっと意味を分かってなかったのかもしれない。 不思議そうに僕の顔を覗き込んだ。 ママたちの方をちらりと見る。 僕のママと彼のママはキッチンで楽しそうに談笑している。 僕はゆっくり相手の方へ顔を戻した。 「えっと…誰が言ったの?」 「ママ!あのね、ママがね、好きな人できたら、もっと仲良くなりたかったらチューするのよ!って! ママもね、昔パパといっぱいしたんだって!だから僕もしたい!」 キャッキャとはしゃぐその姿はなんて無邪気なんだろう。 僕はチラチラとだけ相手の顔を見た。
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