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その日の午後はずっと頭がぽーっとしてた。
家に帰ってからも、ずっと頭の中には銀治君の笑顔。
幼稚園の頃から変わらない素直な笑顔。
裏なんてない、きれいな笑顔。
かっこいい…、すごく…。
「はぁ…」
ため息をつきつつ家に帰る。
「ただいまー」
そう言うと、奥の方から母ちゃんが出迎えてくれた。
「お帰り、澪!学校どうだった?」
微笑みながら話しかける彼女はエプロンをしている。
どうやら、母ちゃんは転職したらしい。
銀治君のお母さんが今までの状況を全部聞き、ショックを受け、更に職場もブラックだと憤り…。
『そんなところに勤めてちゃ死んじゃうわよ!
澪君にも寂しい思いさせちゃうじゃない!』
そして、その勢いで紹介してくれた。…とのことだ。
そこが有難いことに、シングルマザーに理解のある会社だったらしく。
こうして前よりもずっとずっと家にいてくれることが多くなった。
それに、顔色もすごく良くなった。
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