遠い遠い昔の

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「た、確かに僕のママもパパと毎日いってきますのちゅーとかおかえりなさいのちゅーとかしてるけど…でも…」 僕もちゅーの意味とかよくわかってなかったけど、でも、なんとなく、好きな人っていうのは…その……。 だけど、そんな態度が彼を不安にさせたみたいだ。 「あれ…僕ともっと仲良くなりたくない?…僕のこと、もしかして好きじゃない?」 そう泣きそうな声で言われるものだから、つい、 「そ、そんなことない!僕だってもっと仲良くなりたいし大好き!!」 とっさに言い返してしまった。 あっ!と慌てて口を押えるも時すでに遅し。 すぐに彼の表情が満開のひまわりのように輝き始めた。 「じゃあしよ!」 「あ、いや、でも…」 「ん-」 あーもう、僕はどんどん顔が熱くなるのに、目の前の男の子は目を閉じてしまった。 これも教えてもらったんだろうか。それとも、そういう風に人間はプログラムされてるんだろうか。 幼いながらにそんなことを考えてしまった。
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