ワイルド・ワン〜困り顔のペス〜

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でも、その後のユリちゃんの事はよく覚えてないんだ。 いつからか、俺達の三角ベースを見学に来なくなったからさ。 携帯が無かった頃には良くあった話さ。 違う学校に通ってる子は、一緒に遊んだ時に次の約束をしておかないと連絡が取れなくてそれっきりになったりしたのさ。 名前もちゃんと聞いてなかったりな。 ペスもユリちゃんがいないからなのか、縄張りを移動したのか、見かけなくなった。 ユリちゃんの家で飼う事になって、一緒に引っ越した、ってうわさも聞いたけど、それが本当なのかもう知る事は出来ない。 ほんの数ヶ月の付き合いだったけど、あれからみんなどうしたのかなあって、今でも思い出したりするよ。 ユリちゃんもペスも、クロの事も。 みんな友達として、ね。 でもな。 俺はペスを友達だと思っていたし、あいつにも嫌われてはなかったはずだ。自信がある。同じ釜の飯を食った仲間さ。 当然、ユリちゃんの事は俺よりも好きだったはずだ。 でも、今考えるとさ、俺達はあいつに顔をペロペロ舐められた事がないんだよ。 あれは最高の愛情の表現らしいじゃないか。 ペロペロしないのが野良犬の流儀なのかもしれないが、もしかすると俺達は、ペスに友達だと認められてなかったのかもな。 ほら、俺もまだレベルが低かったから、勇者の仲間にはなれなかったのかもしれん。 でもそれって悲しいよな?悔しいよな? 今ならきっと俺だって友達にしてもらえるはずだ。 そんな訳でさ。 お前が犬を飼う事に、俺は…… じいちゃんは賛成だよ。
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