ワイルド・ワン〜困り顔のペス〜

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あれは秋だったと思う。 「ご飯よ〜!」 「あっ、お母さんだ!またねみんな!」 「うん、シンジ君またね!」 いつもみたいにみんなで遊んでたんだけど、この日たまたま最後に残ったのは俺とユリちゃんだった。 女の子と二人っきりになると、ちょっと気まずい。 でも、6時を過ぎてたかなあ。 秋の日はつるべ落とし、って言うくらいでどんどん暗くなって行くし、俺なりにユリちゃんが心配でさ。 二人でペスをかまってたんだ。 もうボールも見えない程暗くなっても、ユリちゃんは平気な顔してたよ。いつも俺達が帰った後、一人でこうしていたんだろうなって思った。 「ケンちゃん、先に帰っていいよ。あたしペスと遊んでるから」 「そう?でも俺もペスと遊びたい」 これも本心ではあった。だってもふもふしたいじゃないか。俺も時々お母さんに頼んでペスに餌をあげたりしてたしな。 ご飯に味噌汁をぶっかけた奴さ。 どこの家でも犬はそんな食事をしてたけど、これは塩分が多いから昔の犬は寿命が短かったと今は言われてるな。悪い事したなあと思う。 でも、同じものを美味しくいただくって楽しいじゃないか。人間のエゴかもしれないけど。 その日のペスは何だかそわそわしててな。 不意にむくっと起き上がると、ユリちゃんから離れて道の向こうを見たんだ。 「あっ」
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