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翌朝、いただいたりんごの皮をむき、スープでも作ろうと起き上がる 隣の部屋へノックをするが返事がない まだ寝ているのかもしれないが、様子が気になるので扉を開けた 「あれ?」 ベッドはもぬけの殻だった 椅子の上には毛布が綺麗に畳まれていた ベッドの上に巾着が置かれてあり、中をのぞくと金貨が数枚入っていた こんなにいただけないわ スミレは、追いかける為に慌てて外へ向かおうとしたところを、中へ侵入してきた人とぶつかった まだ、診療時間には早いはずだけど、急患なのかしら 尻もちをついた状態から立ち上がると、チャリンと金貨の入った袋が落ちた 頭の中に警鐘が鳴った 見た目で人を判断してはいけないけれど、明らかに人相の悪い男の人が立っていた 「金か?」 男は金貨の入った巾着に手を伸ばしていたので、横をすり抜けて外へ飛び出した 「あ、待てこら!」 追いかけてくる気配がする 「逃がすか!おいそっちに行ったぞ!殺すなよ」 物騒な言葉が聞こえる やはり悪人なのね 泥棒か 「お嬢ちゃん、大人しくこっちにきな、ぎひひひ」 げひた笑いを浮かべる小柄な男の人が、正面に見えた
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