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道を外れて山道に逃げ込んで走った
「おい!何してる!早く追え!」
「金のなる木を逃すかよ!」
人攫いだわ
助けて!誰か!
山道に入ってしまった為、村まで遠回りだ。逃げる前に捕まってしまう
近づいてくる足音
こわいこわいこわい
スミレは、ただただがむしゃらに必死で走った
*****
「ご無理はなさらないで下さい殿下」
「大丈夫だ。この通り、驚くほどに元気だ。あの娘には仮ができたな」
「本当に感謝してもしきれません。お礼をお伝えしたかったのですが…」
「ははは、なんだ、アル、お前あの娘が気になるのか?」
「殿下!そういうことではありません、あの娘は光の女神の申し子かもしれません。治癒魔法だけでなく影が見えてると」
「アルは、からかいがいがないな。真面目すぎると嫌われるぞ。あぁ、だからこそだ。お忍びとはいえ、面と向かえば聞かぬ訳にはいくまい。あまり知られてないが、黒い瞳を持つ光魔法の使い手は、女神の申し子。保護せねばいかんであろうな。
だが同時に、自由は奪われて利用されるということだ」
「利用されるなどと、国の為に尽くすことは何よりの幸福です」
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