18人が本棚に入れています
本棚に追加
スミレは突然の申し出に戸惑いながらも、女性の瞳を覗いてみた
患者さんを診察する時と同じく真剣に
「あぁ、本当ですね。瞳の奥にきらめくものがあります!」
「そうみたいですね」
女性は、スミレから距離をとると、両方の眼に先程のレンズを嵌めてしまった
「そのせいで、ちょっと、色々ありまして…だからあなたは、ここに迷い込んだのかもしれませんね」
女性は、飲み終えたカップを下げると、スミレに入り口とは違う扉を指し示す
「あちらからお行きなさい。」
「は、はい。あの」
「ねぇ、ガヴェインのこと、助けたいですか?」
「え?えぇ、いつか王都に行って捜索を依頼しようと思っています。だからお金を貯めてるんです。」
「誘拐でもないのに、誰に頼むつもりなのですか?」
「腕のいい方にです!だからお金を貯めて何でもやってくれそうな人に」
「ふふふ、熱意はあるけれど、ちょっと計画が甘いですよ。逆にあなたが売り飛ばされるかもしれまさんね」
「そ、それでも、何もしないよりはいいから。だって、お金があれば!
ガヴェインだって、お金で売られたようなものじゃないですか!
だから、私も…お金があれば」
最初のコメントを投稿しよう!