プロローグ

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 と言ってもコーヒーとココアを私流に混ぜてるものですが勿論インスタントです。意外と美味しいのですよ。いかがでしょうか?」  にこにこと早口で説明するこのお店の店員らしき中年の女性。  黙っていると穏やかな雰囲気なのに、話し出すと明るくハキハキとした口調で、一言で表すと、元気な人。  さっきまで泣きそうになっていたことも吹き飛ぶくらいに、女性のペースに呑まれそうになっていた  何か飲み物を飲んでひとまず気持ちを落ち着けよう  手持ちは寂しいけど、道も尋ねたいし、一番安い飲み物をいただこうかな  ポケットに入れたお金を確認しながら考えをまとめた 「あの、おいくらですか?お恥ずかしい話ですが、あまり、手持ちがなくて…」 「お代は結構です」 「え?そんなっ」 「あぁ、タダということではありませんよ。お金の代わりにあなたのお話を聞かせてください。飲み物を飲み終わるまで。  飲み物は━━おすすめのカフェモカでよろしいでしょうか?」 「は、はいっ。その、カフェモカ?というものを飲んだことがないもので…」
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