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「ほらほら、早く~。このまま連れて行くのは時間がかかる。転移させるから下着をほら」
「そ、そういうことでしたら…」
こ、これは恩人の下着とはいえ衣服だ
きちんと持ち主へ返すのが礼儀というもの
目を瞑りええいっと頭から外してすぐにポケットへ突っ込んだ
「ははは、アル、女性の持ち物だからもっと丁寧に扱わないと」
「この件に関しては、絶対に誰にも言わないで下さい殿下」
「さぁ、どうするかなぁ」
「殿下~!」
「さてと、戻るか」
下着男、下着を外したのでただの男となった者を役所へと飛ばした殿下は颯爽と歩き出す
ポケットが妙に熱を帯びて感じるアルは落ち着がない気持ちでその後を追った
「殿下?」
急に霧が辺りに立ち込めて視界が遮られた
「なんだ…」
「殿下ー!どこですか!」
声を張り上げるも返事がない
なんということだ
霧を払拭しようと風魔法を発動する
「?」
どういうことだ
何度も繰り返し発動するが霧は立ち込めたまま
アルは己の魔力が多大であると自負している
まさか私よりも強い魔力持ちが。
殿下を狙った誘拐か
ならば、
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