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「それにしても…、澄高の入学式って来週だよね。健ちゃん、わざわざあたしに見せるために着てきたの?」
ナツメが少しからかうようにそう尋ねる。
「そうだよ!制服出来上がったからさ、一番にナツメに見てほしかったんだよ。カッコいいだろ!?澄水ブルー!」
鮮やかな青…というよりは水色に近いカラーの学ラン。かなり古風で特徴的なこの制服は「澄水ブルー」なんて呼ばれて、めちゃくちゃ有名だ。
澄高はここらで一番の進学校といわれている。偏差値は大体75前後。有名大学への進学率も高く、医師や弁護士志望者も多く通う…まあ、いわゆるエリート校なのだ。
そしてそんな高校に合格したオレ。
カッコよくね!?オレ、すげえカッコいいよな!
きっとナツメも澄校ブルーを着るオレに惚れ直したはず…なんて期待しちゃったり。
「…ふーん。
でも健ちゃん、前のホックはちゃんとしめたほうがいいんじゃない?」
そう言って、ナツメはオレのすぐ前まで来て手を伸ばす。
ナツメの細い指がオレの首に触れ、首元のホックが止められた。
あー!近い!ナツメ近い!
触れられる距離にナツメの顔。まつ毛の数も数えられそうなくらいだ。
つか、ナツメめちゃいい匂いするー!
もう無理だー!!
ドキドキするオレをよそに、ナツメは平然たるものだ。
「澄高、みんな頭のいい優等生でしょ?制服着崩したら浮いちゃうかもよ?」
なんて腰に手を当て、お姉さんぶっている。
…ちくしょー。
まだまだナツメには敵わないよー。
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