月夜のメロディ

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流れる雲が、月を見え隠れさせる。 僕の気持ちを現わしているようで、目が離せない。耳には水の流れる音。 フッと事前を地に戻すと、向こう岸に人影が見える。シルエットから察するに、おそらく女性。佇む彼女のスカートが風に揺れる。 顔が見えるわけでもない。 声が聞こえるわけでもない。 耳に届くのは水の流れる音。なのに、その音が音楽を奏でているようで。それは、僕の好きな、少し切ないメロディ。 ただ佇んでいるように見えるその彼女から、視線を外すことができない。 僕は恋をした。 僕は恋に落ちた。 外せない視線。 聞こえるメロディ。 打つ鼓動。 温かく、熱く、火照る血流。 あぁ僕は。 ずっと忘れていた。 僕もまだ…
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