後日談15

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後日談15

「ん……っ、たか……、ここですんのかよ……っ」  車の中で緋嶺の上擦った声が漏れる。  車窓から見える景色は、夜だが見覚えのあるものだ。車が乗り入れられる庭に、かなり古いけれど広めの平屋──二人の自宅だ。  もう少し移動すれば広いところで思う存分できただろうに、と緋嶺は窓の外を眺めながら思う。  助手席のシートを倒され、仰向けになった緋嶺の上に鷹使はいた。熱い舌が首筋をねっとりと這い、同時に胸の突起もいじられ、緋嶺は否が応でも身体が熱くなっていく。 「……っ、ちょ、……っ、あ……っ」  次第に高く掠れていく緋嶺の嬌声。鷹使の瞳は完全に欲情を隠せなくなっていて、そんな彼を見て緋嶺も背中にゾクリと甘い痺れが走る。 「旅行中、まともにキスすらできなかったからな……」  鷹使はそう言って、緋嶺の脚の間をするりと撫でた。ビクッと大袈裟に身体を震わせた緋嶺も、我慢と期待の限界なんだと思い知らされる。 「しょ、……が、ないだろっ。喜屋武たちいたら……っ」 「ああ。だからずっとお前が欲しかった」  そう言う鷹使は本当に余裕がないようで、緋嶺のジーパンを下着ごと下ろす。彼はいつもなら余裕で笑って緋嶺を翻弄するのに、今は言葉通り息遣い、表情、態度でも緋嶺が早く欲しいと語っている。 「だからって、こんな狭いところでしなくても……っ」 「悪い、我慢できない」  そう言った鷹使はあっという間に緋嶺をひっくり返し、うつ伏せになった緋嶺を後ろから貫いた。 「……っ! ──ッ!!」  緋嶺は声にならない衝撃に思わずヘッドレストをキツく抱きしめる。背中に重なってきた鷹使の息が荒くて、全身を細かく震わせながらギュッと目を閉じた。 「……ああ。シートを汚してしまったな……」 「え……?」  鷹使の言葉に、緋嶺はなんのことか分からず聞き返すと、そっと下半身の肉棒に触れられ意味を理解する。思わず見ると、黒いシートに白い精液が付いていて、自分が射精してしまったのだと知った。 「ちょっと鷹使っ、この体勢やっぱやめ……っ」  戸惑った緋嶺をよそに、鷹使は構わず動き出す。緋嶺の腰が跳ね、太ももがまた小刻みに震え出す。緋嶺の中の良いところに当たり、声もなく喘ぐと意識が飛んだ。 「あ……っ、たか、し……っ!」 「ああ……、良いか? 緋嶺……っ」  愛撫もそこそこで性急な行為なのに、二人の身体が繋がったところから、鷹使の力が流れ込んで来る。それが全身を愛撫し、緋嶺を震わせ、絶頂へと導く。そして、緋嶺が感じれば感じるほど、鷹使も同じように高まっていくのだ。  実際鷹使も珍しく小さく呻いていて、緋嶺の背中やうなじにキスをしてくる。【(ちぎり)】を交わした相手との行為は、力の行き来の快感と相まって、すぐにまた絶頂へと駆け上がっていった。 「はぁ……っ! たか……っ、もう……ッ!!」  ギシギシと、車のスプリングの音が激しくなる。こんな田舎で夜に外を出歩く人はいないだろうけれど、こんなに揺れる車を見たら、何をしているかなんてバレてしまうだろう、と思ったらまた勝手に腰が跳ねた。 「ああ……緋嶺、お前は可愛いな……っ」  鷹使は緋嶺の耳を食み、耳元で呻く。同時に強く腰を打ち付けられ、緋嶺の視界に星が飛んだ。より一層ヘッドレストにしがみつくと、パタタッとシートに何かが落ちる音がした。またシートを汚してしまったらしいと気付くと、暗く落ちかけた緋嶺の視界に鷹使の顔が近付く。 「ん……、んん……」  お互いの舌を絡ませた深い口付けを交わす。二人とも息が弾んでいて口付けも苦しかったけれど、それよりももっと相手のことを愛したくて、二人は一度離れ、体勢を変える。 「鷹使、好きだ……」 「ああ……俺も愛してる」  二人の(むつ)み合いは、夜が深くなるまで続いた。
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