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アルゴルの思惑
デネボラ国への調査を断念してから、一ヶ月程経った頃、アルゴルがアステリア国へ来訪した。
ベガはシリウスと共に彼を丁重にもてなし「今後の両国の在り方について話したい」というアルゴルの意見を聞いていた。
「お父上がご逝去されてから、ベガ様とシリウス様でアステリア国並びに傘下にある他国や我が国を盛り立てて下さっている事に、日頃より感謝申し上げます。……ですが、お二人への負担も増えたのではないかと拝察いたします」
ベガは少し怪訝そうな表情でアルゴルを見た。その視線にアルゴルは、にこやかな笑顔で返す。
「何が言いたい?」
「いえ……少しばかり提案なのですが、他国間とのやり取り等、負担を私に肩代わりさせて頂ければと」
今度は姉の代わりにシリウスが口を開いた。
「貿易の業務について、貴国が代わりを務めたいと言うことですか?」
アルゴルは一口お茶を含んでから、二人を見据えた。
「お察しの通りです。取り決め等は今まで通りで構いませんが、必要であれば助言をさせて頂きたい。商売事に関しては、我々の方が慣れていますから……」
貿易についての書類確認やら金銭の流れについて把握するのは、確かに手間と時間がかかる業務だった。それをアルゴルが担ってくれるのは助かると言えばそうだった。
デネボラ製品の輸出量は多く、他国とのやり取りに慣れている事も明白だった。
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