心の迷い

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*** ベガが複雑な想いを抱え始めた頃、アプローチに熱心なアルゴルが、ベガの元を訪ねていた。 「二人きりで話がしたい」と言われ、眉間にシワを寄せるレグルスと必死に止めようとするシリウスを宥めつつ、宮殿の周囲をアルゴルと歩いた。 「アステリア国は緑が多くて気持ちがいいですね。デネボラは乾燥が激しくて植物が育ちにくいから、ここへ来ると落ち着きます」 穏やかな声でアルゴルはベガに微笑んだ。手入れされた庭園のどこかでは鳥が美しい声でさえずっている。 「あの、アルゴル。贈り物の件だが、さすがにもう……」 ベガがやんわり断ろうとすると、不意に手を掴まれた。 「好きな人に喜んで欲しくて……つい贈り過ぎてしまいましたね。でも、それほど私の気持ちは真剣なのですよ」 強い意思を感じるアルゴルの瞳に、ベガもうろたえてしまう。その様子に「ふっ」とアルゴルは笑い、そっと手を離した。 「父の後を継いでから、国について平和について常に考えてきました。結婚について考えるようになったのは……ベガ様にお会いしてからですが」 隙あらばアピールしてくるアルゴルに、ベガはその都度目を逸らした。言われ慣れていない言葉の数々に気恥ずかしくなる。
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