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アステリア国の女王
――遥か遠く宇宙の片隅に、近隣に散らばるいくつかの惑星を統治するアステリア国があった。
それぞれの惑星が国家として存在していたが、さらなる領土を求めて度々戦が繰り広げられていた。
そして20年前の戦いでアステリア国が勝利を収め、確固たる地位を得てからは、他国は配下となり貿易や外交等で関わりを持ち続けている。
資源豊富なアステリア国に対し、貿易や自国への支援を受ける国は友好的だったが、同等の勢力があった国は今も密かにアステリア国の失脚を待ち望んでいた。
そんなライバル国に日々頭を悩ませているのは、今やアステリア国の女王となった18歳の少女、ベガ・ノーザンクロスである。
「先月もこの件に関して回答をしたはずだが? なぜに理解しないのか…」
ベガは書類の積み上がった机で頭を抱えながら、独り言のようにぼやいた。
アイスブルーの美しい前髪がくしゃっと乱れている。
「こちらとしては、前回と回答は変わりませんね。これに関しては折れた方が負けです。では、次…」
ベガの横で淡々と書類を捌いていくのは、彼女の執事兼、護衛を務めるレグルスだ。
彼はベガの6つ年上で、いつでも冷静な表情を崩さない黒髪の男である。
ベガは恨めしそうにレグルスを見つめた。
「ちょっと…休憩せんか?」
かれこれ2時間も書類と向き合っている。
引きつった笑みを浮かべてベガが言うと、レグルスは当て付けのような溜息をつき、手にしていた書類を机に置いた。
「では、少しだけ。今、お茶をお持ちします」
スタスタと姿勢良く扉へ向かうレグルスの背中を、ベガは安堵の表情で見送った。
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