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ベガ達が帰国してから2日後――。
デネボラ国に潜入させていた調査隊も戻り、大広間にてベガとレグルスは報告を受けていた。
結果としては……証拠となるものは得られなかった。
「工場地帯の一角に封鎖されたゲートがありましたが、街人や商人に聞いても有力な情報は得られず…他国での噂については誰も聞いたことがない様子でした」
調査隊のリーダーがそう話すと、ベガは足を組み替え大きく溜息をつき、ちらりとレグルスを見て尋ねた。
「レグルス、お前はこの件どう思う?」
レグルスは真っ直ぐベガの目を見て答えた。
「証拠を得られない以上、デネボラ国への追求は難しいかと。疑いをかけている事をアルゴル王に知られれば、我が国への信用も一気に落ちるでしょう。それに……他国がデネボラ国を陥れようと噂を流した可能性もゼロではないかと…」
それを聞いて、ベガはさらに深く溜息をつくと調査隊に労いの言葉をかけ、下がらせた。
「お前がそう言うなら、デネボラへの調査は一旦ここまでにしておこう。私もむやみに敵を作りたくはない」
気を落とすベガに、レグルスは安心させるかのように話を続けた。
「先王と比べて、アルゴル王は調和を重んじるお方と見受けられます。この先ベガ様の支えとなる存在だと……思います」
ベガは少し驚いた様子でいたが、正面に顔を向けると「そうか」とだけ言った。
大広間を出ると、レグルスはベガを部屋へ送り届け、自室へと戻った。
部屋に入ると勢いよく壁に拳を叩きつけた。先程ベガに向けた偽りの言葉が、彼の心に黒い靄を広げていった――。
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