12人が本棚に入れています
本棚に追加
心の迷い
――その後、アルゴルからの猛プッシュが始まった。
「欲しい物は何としてでも手に入れたい」という彼の強欲さに拍車がかかったようだ。同時にそれはレグルスの気持ちを試すかのようでもあった。
部屋に運び入れられた贈り物の山を、ベガはカストルと共に唖然としながら眺めていた。
「アルゴル様は相当、ベガ様にご好意をお寄せのようですねぇ」
「うーん……」
ベガはアルゴルを警戒しつつも、陽気な人柄や国民に慕われている様子を見て「悪い人間ではないかもしれない」と思うところもあった。
そして先日レグルスにアルゴルは自分の「支えとなる存在」だと言われた事も頭から離れなかった。
どの国に於いても政略結婚は珍しくもなく、むしろ恋愛で結ばれる王族は少ない方だった。
いずれは自分も利益のために結婚するであろうと思っていたベガは、唐突なアルゴルからの求婚も周りが言うほど驚きはなかったのである。
気にかかるのは弟シリウスが反対している事くらい……そう思いながら、ベガは右手で胸元を押さえた。
「なぜ、あいつの顔が思い浮かぶ……?」
小さな呟きに隣のカストルは「どうされました?」と聞き返したが、ベガは首を横に振り何も答えなかった。
最初のコメントを投稿しよう!