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「……こういう時、父上や母上がいたら何と言うだろうな」
ぼんやりと白く光る花畑の中に座り、ベガは天井を見上げた。レグルスはそっと隣に腰を下ろした。
ベガは今は亡き両親を想うも、自分が欲しい答えを受け取れる気がしなくて溜息混じりに笑った。
先王であるベガの父は厳格で、今の状況ならば、国の繁栄の為にアルゴルとの結婚を勧めるだろうと思えた。母は自身が政略結婚である事から、好きな相手との結婚を望むだろうが、きっと父の考えには逆らえない。
「ベガ様は何と言ってもらいたいのですか?」
「……分からない。分からないけど、アルゴルと結婚する事を考えると、嫌そうなシリウスの顔が浮かぶ」
これについては二人でクスッと笑った。弟もなかなかのシスコンで、誰が隣にいてもいい顔はしないかもしれない。
「それと……お前の顔が浮かぶ」
ベガは横にいるレグルスを見つめた。
互いの瞳に白い花の光が反射して煌めく。
「なぜ、なんだろうな……」
ベガの瞳に涙が浮かぶと、堪らずレグルスは彼女を抱きしめた。その腕の中でベガが堰を切ったように泣き出すと、レグルスは切ない気持ちと共に鼓動が早くなるのを感じながらも、胸の奥の黒い部分がチクチクと痛み苦しくなった。
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