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真実を明かす時
手の中で光る小型の通信機を確認すると、そこにはアルゴルからの指示が届いていた。
そしてまた別の通信機をいじると、レグルスはそれをそっと耳に当てた。
「……いよいよだ。油断はするな」
それだけ言うと通信を切り、そっと引き出しの奥へと仕舞った。一点を見つめ、顔を正面に戻すと意を決したようにベガの元へと歩き出した。
部屋の扉が開かれると、寝間着姿のベガがソファに座っていた。アルゴルが先日の提案についての返事を聞きに後日来る事になっており、ベガは緊張からここ数日眠れない様子だった。
ぼんやりと力無さげに座るベガに、レグルスが声をかけると、暗い表情がふと和らいだ。
「情けないな……毎夜、手が震えるのだ」
細い指先が僅かに揺れている。レグルスは冷たいその手をそっと両手で包んだ。
「先日話した通り、婚約する意向と貿易に関する業務をデネボラ国に委ねるとの契約を、一旦は結びましょう」
不安げな様子でベガが頷くと、レグルスは手を握ったままで話を切り出した。
「ベガ様……私は今まであなた方を欺いてきました。私は……デネボラ国のスパイです」
息を吸うように驚きの声を発し、ベガは一瞬、目を見開いた。瞳の動きと瞬きの速さから困惑している様子が読み取れる。
「それと、もう一つ。明かさなければならない事があります……」
レグルスの口から長い年月、明かされなかった秘密が語られた。ベガは混乱しながらも、しっかりと彼の目を見て小さく頷きながら理解していった。
「そうか、あの星の……」
ようやく言葉を発したベガに、ゆっくりとレグルスが頷いた。
「ベガ様、必ずあなたをお守りいたします」
「レグルス……お前を信じる。アステリアを…守ってくれ」
ベガはまだ僅かに震えながらも、彼の胸に頬を寄せた。レグルスの手が背中に添えられると、心までじんわりと温もりが伝わるようだった。
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