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後日、アルゴルはアステリア国へと到着するとミルファクと護衛と共に、ベガとの婚約そして貿易業務の契約を結ぶべく、応接室へと入った。
カストルが案内し、アルゴルはベガの隣に着席した。
同席しているシリウスはあからさまに不機嫌そうにしている。
「では、ベガ様、アルゴル様…ここにサインを」
レグルスが契約書を渡すと、二人は署名をした。
ニヤリと嫌らしい笑みを浮かべてアルゴルは契約書を手にした。
「ありがとうございます。これで心置きなく、業務に励めますよ……早速ではありますが、アステリアの資源を有効活用させて頂きます」
シリウスが怪訝そうな表情でアルゴルを見つめるなか、覚悟していたようにベガは尋ねた。
「……何に使うつもりだ?」
「兵器の製造です」
――ゴォォォ。
突如聞こえてきた空を打ち破るような騒音に、皆が窓の外に目を向けると、遠くから飛行型のロボットが数体やって来た。
その手には大きな銃を構えており、それらは恐らく宮殿の周囲に配置されていると窺えた。
「アルゴル、いつの間にこんな……」
「兵器は保持してはならない法令だぞ!」
青ざめた顔をするベガの後ろから、シリウスも声を荒げた。そんな二人をよそにアルゴルは楽しそうに話し出す。
「平和ボケも困ったものだ。この広い宇宙で、武器を持たないなんてあり得ない。いつ敵国に狙われるか…この狭い国々の集まりでこれ以上仲良しごっこをするのは、うんざりだ」
アルゴルの声が部屋に響き、そのうち身振りも大きくなった。
「テラ・マーテル! 俺はあの星を手に入れたい! それには一刻も早く多くの兵器が必要だ。だが、その為の資源がなくては話にならない。……ベガ、今のままでは宝の持ち腐れだよ」
ベガに近寄るアルゴルの前をレグルスが塞いだ。
アルゴルは鬱陶しそうに目を細めると、隠し持っていた銃をレグルスに向けた。
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