真実を明かす時

2/6
前へ
/46ページ
次へ
*** 後日、アルゴルはアステリア国へと到着するとミルファクと護衛と共に、ベガとの婚約そして貿易業務の契約を結ぶべく、応接室へと入った。 カストルが案内し、アルゴルはベガの隣に着席した。 同席しているシリウスはあからさまに不機嫌そうにしている。 「では、ベガ様、アルゴル様…ここにサインを」 レグルスが契約書を渡すと、二人は署名をした。 ニヤリと嫌らしい笑みを浮かべてアルゴルは契約書を手にした。 「ありがとうございます。これで心置きなく、業務に励めますよ……早速ではありますが、アステリアの資源を有効活用させて頂きます」 シリウスが怪訝そうな表情でアルゴルを見つめるなか、覚悟していたようにベガは尋ねた。 「……何に使うつもりだ?」 「兵器の製造です」 ――ゴォォォ。 突如聞こえてきた空を打ち破るような騒音に、皆が窓の外に目を向けると、遠くから飛行型のロボットが数体やって来た。 その手には大きな銃を構えており、それらは恐らく宮殿の周囲に配置されていると(うかが)えた。 「アルゴル、いつの間にこんな……」 「兵器は保持してはならない法令だぞ!」 青ざめた顔をするベガの後ろから、シリウスも声を荒げた。そんな二人をよそにアルゴルは楽しそうに話し出す。 「平和ボケも困ったものだ。この広い宇宙で、武器を持たないなんてあり得ない。いつ敵国に狙われるか…この狭い国々の集まりでこれ以上仲良しごっこをするのは、うんざりだ」 アルゴルの声が部屋に響き、そのうち身振りも大きくなった。 「テラ・マーテル! 俺はあの星を手に入れたい! それには一刻も早く多くの兵器が必要だ。だが、その為の資源がなくては話にならない。……ベガ、今のままでは宝の持ち腐れだよ」 ベガに近寄るアルゴルの前をレグルスが塞いだ。 アルゴルは鬱陶しそうに目を細めると、隠し持っていた銃をレグルスに向けた。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加