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「アルゴル、法令違反並びに内乱罪でお前の身柄を拘束する。よって、先程の契約も破棄だ」
ベガがそう言い放つと、部屋の外から護衛達が数人入って来た。開けられた扉の向こうでは、デネボラの護衛達が後ろ手に縛られていた。
「契約を囮にしたのか……」
アルゴルをデネボラ国から呼び寄せ、反乱の証拠を押さえて、身柄が確保し易い状況になるのをレグルス達は待っていた。
資源欲しさに武力でベガ達の反対を押し切ろうというアルゴルの魂胆も、最初から作戦として知っていた。
警備システムを解除し、飛行ロボットをアステリア国で待機させるよう、レグルスはアルゴルから指示を受けていたのだった。
レグルスが項垂れた様子のアルゴルに近づき、だらんと下げられた右手にある銃を確保しようと手を伸ばした……が、その瞬間アルゴルに手を掴まれ、羽交い締めにされてしまった。
「レグルス!!」
ベガが悲鳴を上げるように名を叫んだ。
アルゴルはレグルスのこめかみに銃口を突きつけ、扉側にじりじりと歩み寄って行く。
「やはり、お前は早く殺しておくべきだったな……」
レグルスの耳元で悔しげにアルゴルが囁いた。
動く事ができないまま皆が見つめ、ミルファクは腰が抜けたのか床にしゃがみ込んだまま主を見ている。
シリウスは先程の発砲の後、カストルを庇いながら机の陰に身を潜め様子を窺っていた。
ベガの心臓がドクドクと波打つ。
目の前の光景がゆっくりと動いて見えた。
そんな中でもレグルスと目が合っていた。
彼の目が、ベガの脇に立つ護衛の腰に付けられた拳銃をちらりと見たのを彼女は察した。さらにレグルスはシリウスへと視線を移す。
レグルスの僅かな合図を確認し、シリウスは机の上のグラスを勢いよく跳ね除けた。
――ガシャン!
アルゴル、そして護衛達までも、視線が音の方へと向けられる。その瞬間にベガは護衛の腰から拳銃を引き抜き構えた。
「撃て!!」
レグルスがベガに向かって叫ぶと同時に、引き金を引いた。彼に言われた言葉がフラッシュバックする。
――「私の事も躊躇わず撃って下さい」
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