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静かな大広間にベガのカツカツという足音が響く。
王座に座り、威厳たっぷりに足を組むと、一同が敬礼をした。
中央に敷かれた赤絨毯にはシリウスを先頭に、同行した護衛達が片膝をついて並んでいる。
「この度は長きに渡る外交、ご苦労であった。異国の地で何かと難儀な事も多かったであろう。それぞれ心身共に疲れを癒やすように」
「ははっ」という護衛達の野太い声の後、柔らかな高めの声でシリウスは礼を述べた。
「姉上に於かれましても、お元気そうで何よりです。此度は貴重な経験を積ませて頂き、感謝申し上げます」
姉と弟は互いに微笑むと、また気を引き締めた。
「詳しい話はまた後程、報告せよ。他の者も情報を共有し、今後我が国の糧になるよう努めよ」
今度は周囲の兵士達も声を揃えて返事をした。大広間がビビッと振動する。
ベガが立ち上がりマントを翻して去って行く姿を、皆が敬礼し見送った。
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