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不穏な噂
ベガとカストルが一足先に部屋で待っていると、扉が開いて目を輝かせたシリウスと、いつものように無表情なレグルスが入って来た。
「姉上! 戻りました!」
「シリウス〜! 元気だったか? ちゃんと食べていたのか?」
身長はベガが15cm程低いのだが、一度抱き合って弟の頭をワシャワシャと撫で回す。
シリウスは数ヶ国をひと月程かけて視察に行っていた為、互いに再会を待ちわびていた。
「姉上、とても有意義でしたよ。料理も口に合いましたし、この通り元気です」
嬉しそうな弟を見つめて、ベガは何度も頷いた。
「ベガ様、シリウス様。立ち話も何ですから、こちらでゆっくりとお話し下さい」
カストルに促され、ベガ達はソファに座った。
視察の報告を受け、カストルやレグルスとも意見を交わしながら会話を進めた。
そんな中、シリウスが声のトーンを下げて静かに話を切り出した。
「実はデネボラ国について、良くない噂を耳にしまして……」
デネボラ国とは、統治下にある惑星のひとつだが、国自体はアステリア国と変わらぬ規模で一番のライバル国であった。
ここ数年で世代交代をし、現在デネボラ国のトップとなったのは、かつてベガ達の父と戦った国王の息子だと聞いている。
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