月をあつめて

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☽ルアTIME☽ 「塾はどうだったんだ」  月の光をたっぷり含ませた、ムーンボトルは中にしまっておいた。  帰宅するなり、いつもの調子の親父。 「ん。大丈夫だったよ」  本当は、今日は塾になぞ行ってない。  今日は満月。人間がオオカミになる時もあれば、女子高生が塾をサボりたい時もある。 「何がどう大丈夫だったんだ?」  めんどくさい親父。いちいち詮索してくる。  自分の部屋に行くのに、リビングを通らなくてはいけない。  サバの味噌煮缶をあてに、晩酌をしている親父をスルーすることは不可避だ。 「予習してたとこだったから、授業内容も理解できた。宿題も難なくこなせそう」 「そうか。あとでテキスト見せなさい」 「はい」  こくり、と頷いて、ぺこり、とお辞儀して、私は早足で自室へ向かおうと階段を上った。  2階に上がってすぐ、左側のドアが私の部屋だ。  左側の部屋は、今は使われていない。元々兄貴の部屋だった。  でももう兄貴はいない。
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