ジェントルマン

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「キャーーー!!」と言う 女性の叫び声で目が覚めた 起きると自分の部屋ではなく 巨大な透明の空間のような場所にいた 声の方を向くと若い女性が 男性に襲われているようで 紳士を目指している僕は すかさず女性を助けに行き 男性をボコボコにして 無事女性を救い出した 呆気なく力尽きた男性はとても弱く よく見ると老人に近い年齢で なぜか自分が被害者のように 「ちくしょう!俺だって最後くらい  いい思いしたっていいじゃないか!」 と泣き叫んで僕を非難していた (一体なにがどうなってるんだ?) 僕は女性に事情を聞くと 女性はお礼を言ったのち 上を見てと指示してきた 言われた通り真上を見上げると 巨大な怪物のようなものが2体 僕らを観察してるようだった 「うわっ!なんだあれは?」 僕が驚いて声をあげると  女性は冷静な口調で 「私たちはあいつらに飼われているの。。」 と呟いた なるほど。そういうことか きっと加害者の老人は もう自分が死ぬまで ここから出られないと悟り 死ぬ前に自らの快楽を求め 女性を襲うという 凶行に出たというわけか まったく男の風上にも置けない奴だ それからわけがわからないまま  ここでの生活が始まった 人間は僕を含め6人いて 僕と若い女性とその老人と老婆と それに子供が2人と なぜか猫と犬が1匹ずつだった 部屋の中にはほとんど何もなく トイレにしている大きな器と 身体を洗う用の大きな器と 食事を入れている器と 水を入れている器だけだった それを全員で共有するしかなかった ただ不思議と食事はおいしく 食べたことのないような食感の 味わったことのない味覚で 見たこともないような見た目だったが 体調を崩すことはなかった そして数日間ここで暮らして 分かったことは あの巨大な怪物たちは 僕たちのことを 傷つけたり殺したりしようと してるわけでなく 純粋にただ観察してるだけだと分かった なので少し安堵したが ずっとここであいつらに 飼われていたくはなかった しかし一体どうすれば ここから出られるのだろうか? この空間は左右に無限に続いてるようだが 奥のほうまで行ったら 戻ってこれる保証はない気がした というのも初日にいた犬や猫が ダッシュして遠くへ走って行ったが それからいつまでたっても 帰ってこないのである 迷子になって 途中で死んでしまったのだろうか そう考えると恐ろしくて ここから動けないでいた では左右じゃなく 前後の壁を壊そうと考えたが 頑丈なこの壁は 素手じゃどう考えても無理で 10メートルほど垂直に そびえ立ってるこの壁を よじ登ることも到底出来ないだろう (マズい。このままじゃ 一生この中にいることになる・・) そう考え不安を募らせていると 事態が急変した 「ガシャーン! バリーン! ドーン!」 というとてつもない 破裂音が聞こえたと思ったら 真上にいた怪物達が壁に倒れてきたので 壁が割れ僕らは 怪物の下敷きになりそうになった なので必死で逃げようと思ったが 紳士を目指してる僕は 1人だけ逃げるようなことはせず 動けずに呆然としてる老婆を見つけると 背中に乗るように指示し 泣き叫んでる子供たちを 必死にこっちへ誘導し 若い女性とともに 壁の開いた隙間を探し出し 全速力で懸命にそこに走っていった そして奇跡的に外に出ることが出来ると みんなで歓声をあげて喜んだ ただその後真上にいた怪物を倒した  新たな違う種類の怪物たちに捕まり  また僕らは飼われることになってしまったけれど・・
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