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「ねえ美琴ちゃん、今も颯太くんが好き?」
「…そんなわけないでしょ」
「嘘が下手だなぁ。私に隠し事しても無駄だよ。」
1歩ずつ距離を詰めながらわざとらしい猫なで声が神経を逆撫でする感覚に必死に耐える。
花梨が耳元で囁く
「一つ教えてあげる。私は美琴ちゃんの────」
っ……!!!
悪魔の囁きに抗うように身を引くと、花梨が薄く笑みを浮かべながら満足気に踵を返す。
彼女を引き止める言葉を持たないまま、私は去っていく彼女の背中を呆然と見送った
『─────美琴ちゃんの全てを奪ってはじめて満たされるの』
この時はまだ、後の惨劇を知る由もなかったんだ
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