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「あんた、よくここに座ってるよな。」
「…そういうあなたは?」
ズカズカと空いていた向席に座った男は興味深げに私を見ている…と、思う。
私はその視線に眉を寄せながら窓辺から見える夕陽に顔を向けた。
「俺はチカ。ここ俺の友達の兄貴が経営してる店で昔からよくここに来てんだ。あんたもよく来るよな」
「……ここからの景色が1番好きなの。でも、もう終わり。これで最後」
「なんで?」
「理由、あなたに言う必要ある?」
「ないな」
「なら私の事は放っておいて」
「七瀬 美琴」
咄嗟に自分の名前が呼ばれ振り返ると、男──チカがニコッと笑みを浮かべる。
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