3人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
満月が周囲を明るく照らす十五夜。
近未来の王宮の中。
この国の王子と執事が広間の中に二人、首を長くして到着を待っている。
現国王に似て背が小さく、お世辞にも美しいと言えない王子は少しの苛立ちを含め執事に向かい言う。
「じいや、遅くはないか?」
「坊ちゃま。逸る気持ちがそう感じさせるだけでございます。現地の者からは時間通り出発したとの報告を受けております。ご安心くださいませ」
部屋の中を行ったり来たり、忙しなく歩き回る王子を傍でジッと佇む執事が見守っている。
「待ちに待ったからね。楽しみだな」
「今しばらくお待ちください」
しばらくすると、月明かりを背後から受け夜空に浮かぶ御車が、こちらに向かってくるのが見えた。
「おおお、ついに来たぞ!」
「さようでございますね」
期待に胸を膨らませる二人であった。
最初のコメントを投稿しよう!