新解釈竹取物語

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「まず、わたくしも『やまとなでしこ』について実際にお会いしたことがございませんので詳しくは存じておりません。 坊ちゃんもご存じの通り、現代では『やまとなでしこ』は絶滅しております。ですので、一から育て上げなければなりません。 しかし、わたくしも含め『やまとなでしこ』についての情報のない中でお望みの『やまとなでしこ』を育てるのは困難。 そこで『やまとなでしこ』を育てるには、実際に『やまとなでしこ』が生存していた平安時代の、子供がいない優しそうな夫婦に育てていただくのが得策と判断いたしました。 調査の結果、平安時代に条件の合う子供のいない夫婦がいることが分かりました。 美女のクローンの赤子を用意し、夫婦の住む家の近所に竹林がございましたので竹の中に赤子を送りました。 調べてみて分かったことでございますが、時代を超える転送には十五夜の満月の力が必要ということでございます。 ですので、月日が経過し無事『やまとなでしこ』に育った娘を十五夜の日に、こちらの時代へ転送する手筈になっておりましたのですが、実際育ったのがあの方でして……」
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