3人が本棚に入れています
本棚に追加
満月が周囲を明るく照らす十五夜。
平安時代。
大きなお屋敷の庭先に大勢の者たちが詰めかけている。
かぐや姫の出立を阻止するため、熱烈な支持者や役人、腕を見込まれ雇われた力自慢の大男たちが集結した。
「今宵、私は月に帰ります」
皆に宣言すると、かぐや姫は名残惜しむ様子もなく素早く御車に乗り込む。
育ての親である翁と媼は地面にひれ伏し泣き崩れている。
屋敷の周りを警護する者たちは必死に抵抗を試みるものの、少しの影響も受けることなく進む御車は月へと向けて飛び立った。
詰めかけた者たちは茫然と立ちすくみ、虚しく見送ることしか出来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!