生物学的恋愛論♪

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「歩き方ヘンだよ」 前を歩く桐人に向かって、笑いながら真理絵は言った。 「ヤバいな。酸欠になりそう」 と、桐人も笑う。 もう夕方だ。 昼に会ってから日が暮れるまで ずっとしていたのだ。何がそんなに2人を夢中にさせたのか分からない。 誰かに見られるかもしれない。 このシチュエーションが2人を興奮させ続けたのだろうか。 「彼女とは、してないの?」 真理絵の質問に 「水にする?スポーツドリンクがいい?」 と、自動販売機に小銭を入れながら、桐人は質問の答えをはぐらかした。 「アイスティー。微糖がいい」 と真理絵は桐人の横にくっついて、ボタンを押した。 公園は昼間とはうってかわって、人も居ないし、森みたいな静寂さに包まれている。 ベンチに並んで座り、真理絵はアイスティーを飲み、桐人はスポーツドリンクをゴクリゴクリと音を立てて飲んでいる。 桐人の、喉仏が同じ速度で上下に動くのを見ていると、真理絵の乾いたはずの欲望にまた残り火が燻って一気に燃えてしまいそうに、なる。 「桐人、セクシーになったね」 「どっちがだよ。真理ちゃんがずっとセクシーになってるよ」 「うちら、大人になっちゃったんだねぇ」 と、真理絵は左足だけアンクルストラップを外し、サンダルを脱いで裸足になった。 そして、桐人のサンダルの上に自分の裸足を乗せて、自分の足指の腹で桐人の足の指を優しく愛撫する。 真っ赤なペディキュアが艶かしく動く。 「すごく、良かった。桐人。昔よりずっと・・・・」 桐人の瞳に再び火が灯るのを真理絵は期待していた。 見つめ合う2人の空気を掻き消すようにスマホが鳴る。 「あ、ごめん。ちょっと」 と、スマホを耳にあて、桐人は自動販売機まで歩きながら何やら頷いている。 彼女からの電話なのだろう。 真理絵は真っ赤なペディキュアの足をサンダルにしまうとアンクルストラップをパチン、と留めて立ち上がり、桐人に "またね" と口で伝えて公園を去った。 虚しかった。 気持ちいいセックスをしても、いつも気持ち悪い感覚になるのは何故なんだろう。
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