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「じゃあね、真理絵ちゃん。また連絡して」
「ええ。またね、濱田さん」
バンッ。
岸本珠恵がキッチンで唐揚げを揚げていたら、車のドアが閉まる音がした。
案の定、カツンカツン、という軽快なヒールの音がドアの前で止まる。
「ただいま、タマ」
と、真理絵は上機嫌にヒールを脱ぎ散らかして部屋に入る。
「もう。ちゃんと靴は揃えてよ」
珠恵は倒れた真理絵のヒールを綺麗に揃えて玄関に置いた。
「なになに?今夜は唐揚げ?」
聞くや否や、真理絵は揚げたての唐揚げを1つ、指で摘まんで口に放りこむ。
「んー!うまっ」
「汚いわねぇ、手、洗ってから食べなさいよっ」
と、珠恵は真理絵の背中を押して、洗面所へ追いやった。
「そのままお風呂入ったら?お湯たまってるから」
珠恵は、さりげなく言ったつもりだったけど真理絵には全てお見通しだった。
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