生物学的恋愛論♪

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「ちょっと!!何やってんのよっ!!」 珠恵は無理やり真理絵と穂積の間に割り込んで 「あ、ありがとうございました!じゃ、私たちは帰りますんでっ!!」 と、ぶっきらぼうに言って、タクシーの運転手に 「出してくださいっ」 と、これまたぶっきらぼうに言った。 道路沿いに佇む穂積の前をタクシーが去っていく。 怒り心頭の珠恵とはうって変わって真理絵はタクシーの後ろの窓から見える穂積に 「またね~バイバーイ」 と上機嫌に手を振り続けていた。 穂積の姿が見えなくなると、珠恵は真理絵の太ももをパチンッッと結構な力で叩いた。 「イタッッ!!なによ!?」 「何よ、じゃないわよっ!初めて会った人に何やってんの!?」 「何って・・・キスしただけじゃん?なに、タマ、そんな事でプンプンしてんの?キスなんて欧米じゃ挨拶じゃん」 「ここは、日本でしょ?百歩譲って相手が欧米人ならまだ分かるわよ?相手日本人じゃん!ビックリしてたじゃん!?」 真理絵は叩かれた方の太ももを上にして脚を組んだ。 「そーお?別に嫌がっても無かったと思うけど」 と、窓の外を眺めながら言う。 べつに大した事ではないと言わんばかりに。
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