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既に空になったジョッキが2つ。
そして目の前にある一升瓶もこれからどんどん減っていくだろう。
男は居酒屋にしては洒落た今時の店で、味のある手書きのメニューからペアリングの欄を見る。
「すみません、この、鴨のと、生ハムの」
「はい!畏まりました!ありがとうございます」
溌剌とした学生スタッフの威勢の良い返事に何処か気後れしながら、またお猪口を傾ける。
一人でもふらりと入りやすく男にとって馴染みの店だ。カウンター席もテーブルも程よく客で席が埋まり、店内はセンスあるランプで薄暗くなっている。ちょうど食事と会話を楽しむ人達を見渡せるカウンターの端の席は、何処か秘密めいた特等席のように感じられた。
「だいぶ酔っているようですが、大丈夫ですか」
男は大丈夫だとひらりと手を振った。
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