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 今日、男は友人の結婚式に参列した。  朝露が太陽の光を反射して輝き、花々が色鮮やかに咲き乱れる中、厳かに行われた挙式。チャペルは新郎新婦を祝う招待客で熱気だっていた。  高校時代から付き合いのある友人は、緊張した面持ちで現れた。上等なモーニングコートは背が高く、シルエットの良い彼に似合っていた。引き締められた表情が扉を見据える。その先にいる最愛の相手をしっかりと。  扉が開き、父親と共に会場へ踏み入れた新婦は、美しかった。真白なウエディングドレスは彼女の心の純真さ、無垢さをありありと表しているようだった。  新婦の友人たちがきゃあきゃあと頬を染めて小さくはしゃぐ横で、男はただ呆然と、その美しい光景を見つめていた。
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