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男は酩酊しながらも差し出された冷たい水を流し込む。自分でも驚くほど、飢えた旅人のようにごくごくと飲み干した。
「あぁ、そうだ…よかったら、これ」
男がカウンターの下から取り出したのは正方形の箱だ。包装を破って蓋を取ると、分厚い冊子が出てくる。
食べ物や日用品、飲食店の利用権などが載ったカタログギフトは男が参加した結婚式での引出物だ。
ご祝儀のお返しとしてか、幸せのお裾分けか、結婚式と披露宴の参加への感謝か。此度の新郎新婦の想いを知る由もないが、幸せなお裾分けだろうとこれまでの付き合いから察する男には受け取り難いものであった。実状はどうあれ、邪な思いを抱いていた自分には過ぎたものだ。
自分は彼らのように変わることはできないだろう。
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