空から来た甘いケモ耳

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 実家の両親は僕たちが小さい頃に離婚して、母に育ててもらったけど、姉が短大を卒業して僕が専門学校を卒業すると、再婚した。相手にも子どもがいてもう成人していたから特にわだかまりは無かったけど、違う家庭に気後れしてなんとなく疎遠になっている。  僕は専門学校を卒業して一人暮らしを始めてパティシエとしてレストランで働いていたが、思う様にパティシエの仕事ができず、仕事環境も自分とは合わなかったようで、ストレスから体調を崩してしまった。  見かねた拓哉さんが声を掛けてくれて拓哉さんの洋菓子店でパティシエ見習いとして転職した。憧れのパティシエの拓哉さんと仕事ができることは幸いなことだった。  カフェを併設した洋菓子店は住宅街の一角で、ランチの時間に合わせた昼前から夕方まで営業している。カフェの料理を担当するスタッフ2人とドリンク担当のスタッフ、パティシエは拓哉さんと先輩パティシエが2人と僕。  僕はパティシエ見習いとしてケーキを製作しているが午後からは売り子として店頭に立って販売している。夕方には店を閉めて翌日の仕込みだ。
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