空から来た甘いケモ耳

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 呟いてアパートの手前の小さな祠に手を合わせた。信心深いわけじゃないけど、道すがらあれば手を合わせて通る程度だ。 「今日もただいまです」  手を合わせて自分の影がいつもよりも濃くて空を見上げた。夜空には赤っぽく見える大きな月が輝いている。  今日は満月かぁ。 「え? 何? まぶし……」  月が落ちて来たのかと思うほどの眩しい光が刺した。  目が眩んで腕を上げて顔を覆った。  目をしばだたせていると視界を白い物に覆われて、それが落ちてきた物だと気が付くのは同時だった。 「うわぁああっ……いったぁ」  重たい何かが僕を地面に押し付けている。尻餅をついて怪我はしなかったが、白い物が体の上に乗っている。 「しっかり、受け止めんかっ」 「ええっ?」  驚いて起きあがろうにも乗っている何かのせいで叶わない。  僕の上には薄黄色いフワフワした大きな犬? のような生き物が乗っている。 「しゃべった?」  確かに声がした。周りには誰もいないし、僕とこの生き物しかいない。 「無礼なやつだ」 「しゃべってる?」 「何を言っているのだ。ワシしかいないだろう」
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