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「見つかったの? え、そうなの? でも名前、コマと、コマダ君って」
拓哉さんは笑って、「コマ元気?」と聞いた。
コマは困惑した顔をして、「犬は元気にしている」と話を合わせて笑った。
「いい鼻をしているのかな。これの違いって分かる?」
拓哉さんは試作品のクッキーを数枚取り出した。
コマは、「食べたことのない物ばかりだ」と言いながら口に運んだ。
「これはさっき食べたクリームに入っていた木の実の味じゃ。これは爽やかな……」
言いながら料理台に乗っているオレンジを指さして、「これじゃ。これが入っておる」と言った。他のクッキーも入っているものをコマは言い当てた。
これまで食べたことがないから、繊細な味の違いや匂いの違いに敏感なのだろう。
「すごいねぇ」
「コマ、すごい」
2人に褒められてコマは、「何がすごいのだ。明らかに違うではないか」と言い返した。
「なかなか難しいよ。これは違いが分かるかな?」
冷蔵庫からクリームを取り出した。
コマは食べるよりも先に、「これはこっちと同じじゃ」と僕が持っている生クリームを指さして、「そっちは何か入っておる」と言った。
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