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「そうそう。こっちはヨーグルトが混ぜてあるんだよ。なんで分かったの?」
「匂いが違う」
微妙に違う程度だ。食べればすぐに分かるけど、見た目ではほとんど分からないだろう。
「ええ。本当にすごいね」
拓哉さんはすっかりコマを気に入って、次々試させるから、「もうよい」とコマが断るほどだった。たまに迎えに来て時間がある時にはコマを厨房に入れて試作品について意見を聞いたりしてすっかりお気に入りになってしまった。
今日もコマは試作品のケーキやお店には出せないケーキを貰って上機嫌だ。
ケーキに喜んだコマに拓哉さんは、「飼い主に似るんだねぇ」と笑っていた。
アパートに帰るとコマはいつも待っていてくれた。ケーキを貰って帰ると喜んでくれて、一緒に夕飯の買い物に行く。
「遅くなった」
閉店後に他のスタッフと一緒に試作品作りをしていて帰りが遅くなってしまった。
ここの公園、暗いと怖いけど急いで通りすぎれば近道だから。
いつもなら迂回する公園の中を通り抜けようと中に入った。
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