空から来た甘いケモ耳

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 コマは裸の僕をじろじろと見て、「ここも怪我しておる」と肘や背中を指さした。  ベンチに押さえつけられたから背中を打ったのだろう。腕のあざは暴れた時にぶつけたようだ。手や指を怪我しなかったのは幸いだ。 「薬箱はあるのか?」 「薬箱はないけど、絆創膏とか体温計くらいはあるよ」 「お前は風呂に入っておれ。出たらここを冷やしておけ」  頬を撫でてコマは風呂から出て行った。ガチャガチャと音がして玄関の締まる音がした。コマに言われた通り風呂でしっかり身体を洗って温まって風呂を出た。部屋にはコマの姿は無くて、僕の普段使っているカバンも無かった。いつもは入れていない暖房も付けられていた。 「どこ行ったんだろう」  冷凍庫から氷を出すと小さなビニールに入れて頬を冷やした。部屋の真ん中に座ってコマの帰りを待っているとだいぶん経って、ビニール袋を手にしたコマが帰って来た。 「どこに行ってたの?」 「買い物じゃ。いる物を買ってきた。金はそなたのを拝借した」  コマは僕のカバンを片付けるとテーブルを出してコンビニの袋から、保冷剤と保冷シート、シップを取り出した。他にも何か入っているようだ。 「よく分かったね」
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