空から来た甘いケモ耳

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 コマから湿布を受け取ると粘着面を引っ張って広げる。コマに端を摘まむようにして渡してようやく湿布を貼った。他の場所も僕がフイルムを剥がして、それがしわくちゃにならないようにコマがそっと貼ってくれた。  本当に細かいことは苦手だな。 「ありがとう」  お礼を言うと、「礼には及ばぬ」と言って、「風呂に入ってくる」と部屋を出て行った。  コマの買ってきてくれたゼリー飲料を飲んで頬に保冷剤を充てる。  風呂場の鏡で見ると頬が赤く変色していた。  明日も仕事なのにこんな顔だとお客の前には立てない。それに、今は赤いけどこれがあざになったら余計に目立つだろう。  拓哉さんになんて説明しよう。姉さんだって心配するだろう。  普段通らないところを通った僕のせいでもある。トイレでコマが人や犬に変わるところを見られていたみたいだ。コマのことは言われなかったから、変身できることはバレてないみたいだけど、男同士でトイレに入っていかがわしいことをいていたのかと勘違いされていたようだ。  僕の顔は相手には分かっていたみたいだから、もし、仕返しとかされたら怖いな。
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