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卵を出すことはできないが、そこら辺にあるものを卵に変化させることはできる。
ポコタは近くにあったティッシュペーパーを箱から4枚抜き取ると、それを卵へ変化させることにした。
ティッシュペーパーの卵が調理できるのかどうかは謎だが、卵を出せば響は満足するだろう。
ポコタはティッシュペーパーに念を込めた。
だが、何も起こらない。
ものを変化させるのは得意ではなかったが、こうもうまくいかないとは。
きっと、響の持っているウサギのぬいぐるみの目が怖いせいだ。
気を取り直して、ポコタは卵を頭に思い浮かべ、一生懸命に念を込めた。
何だか体が熱くなってきた。念を込めるために集中したせいだろうか。
次の瞬間、ポコタの体が動かなくなった。
目の前にあるティッシュペーパーは変化していない。
何が起きたのだろう。
「ポンちゃん、もう振り返ってもいい?」
響の声がした。その直後、ポンタは浮遊感を感じた。響の姿が、先程より大きく見える。
「うわぁ、大きい卵! 普通の卵の4つ分くらいあるね! これだけ大きければ、1つでも充分だよ。ポンちゃんありがとう!」
響の喜ぶ声がポコタの耳に聞こえてくる。
卵? ティッシュペーパーはそのままなのに、どういうことだ。
目の前には嬉しそうな表情の響。そこで、ポコタは気づいてしまった。自分が卵となってしまったということに。
体が動かないのは当然だろう。卵なのだから。
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