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4、不思議な石
翌朝、何とか頑張って師匠よりも早く起きることができた。
起き上がると、ころんと何かが視界の端に落ちていった。拾い上げると、虹色に輝く綺麗な小石だった。
(なんだろう、これ)
装飾品にでも使うのだろうか、そもそもなぜ枕元にあったのか、これが今日初めてなのか、それとも過去にもあったのか、など気になることはたくさんあったけれど、師匠が教えてくれないものは教わる必要はない。
よくわからないのでポケットにしまい込む。できるだけ音を立てずに着替えを済ませ、杖をそうっと抱えて、小屋を出る。
やや小走りに森へ向かう。もう子供たちはいるだろうか。彼らが来る前に、木の上にいたいのだけれど。
(あ、まだいない)
昨日と同じように木に登り、子供たちの到着を待つ。そういえば、と思い出し、ポケットの中を探る。キラキラ光る、キレイな小石。いったいこれは何だろう。
「師匠に聞いたら教えてくれるかな」
でもこれは決して、師匠には見せてはいけないようなモノ、のような気もする。どちらが正しいのだろう。
(わからない)
しばらく悩んでいると、子供たちの声がした。どうやら今日もこの場所で練習するらしい。待っていてよかった。
「……っ、やっぱりショウセキがないとこれ以上は無理だよ」
「めったに手に入らないんだから、このままやるしかないって」
「でもぉ…」
ショウセキ、とは初めて聞く名前だ。師匠との会話でも出てきたことはないように思える。
その後も何度か召喚の練習をしているようだったが、思うような結果は出なかったみたいだ。召喚された育ち切っていない野菜たちを肩を落としながら拾い、子供たちは森から姿を消した。
「ショウセキ、」
師匠に聞くべきだろうか。でも、何処で耳にしたのかと問いただされるかもしれない。わからない。誰か、教えてくれるひとが、いればいいのに。
初めて、そんな風に思った。
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