6、見守りたいと願う心

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6、見守りたいと願う心

それから毎日森へ行った。 師匠より早起きできる日もあれば、出来ない日もあって。できた日には枕元に召石が転がっていた。 (私は、召喚人、なのかな) ということは、起きたときに召石がないということは、師匠が隠しているのだ。どこにしまっているのだろう。いつか私に教えてくれるのだろうか。 「師匠の、ばーか」 ため息をついて、膝を抱えて、師匠との思い出のあれこれを思い出す。とてもいいことがたくさん、もやもやとすることがすこし、そんな曖昧な状態で、そろそろ心が、感情が、破裂しそうだ。 ぐるぐると思い悩んでいると、子供たちの明るい声が辺りに響いた。顔を上げると、いつもと違う明るい表情をしている。 「今日はイイモノもってきたっ」 「えー、なになに」 「これ、って、召石…?」 「残念、養殖石のほう。でも俺たちの召喚力なら、これくらいがちょうどいいって」 いっぱいおうちの手伝いをして手に入れたお小遣いを全部足しても足りなくて、兄弟にお願いしたんだ、とその子供は胸を張っていた。 「今日こそは成功させて、みんなをびっくりさせようっ」 そう言って、言葉を紡いで、杖を振って、石を掲げて、そうして召喚されたモノ、は。 「うわぁぁっっ」 「に、逃げっ」 とてつもなく大きな食虫植物、だった。子供たちはまさかこれを召喚したかったわけじゃないはずだ。その証拠に、あんなに真っ青になって、逃げまどっている。 その姿が、餌の虫に見えたのだろうか。食虫植物は蔦を伸ばし、子供たちの足を掴もうと、。 「危ないっ」 思わず飛び降りてしまった。私だって、持っているのは自分の杖と、身一つで、攻撃力にたけた冒険者ではないし、魔法力にたけた魔法使いでもない。師匠みたいになんでもできる力があればいいのに、とこんなに強く願ったことはない。 (師匠、師匠…っ、たすけてっ) 心の中で叫んだ途端、ポケットの中から光があふれた。 「あ、」 今なら、できる。 正しい言葉と、正しい杖の振り方。 この数日何度も見ていた。 この光が本当に、私の思う通りのものならば。 きっと、助けてくれるはず。 轟音とともに光に包まれて現れたシルエットは見慣れた背丈で、ひどく安心するものだった。 「やれやれ、こんな場所に喚び出されるとは、思ってもいませんでしたよ」 「し、しょぉ…?」 「妙な呼び方をするんじゃありません」 師匠がその大きな食虫植物に杖を一振りするだけで、それは、チリとなって消えてしまった。 「師匠、すごいです…」 「本当にすごいのは貴方なんですけどね…ルク」 後は私に任せて大丈夫ですよ、と頭を撫でられて、安心してしまって、私はそのまま意識を手放した。
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