えぴ3

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精一杯のセクシーポーズをぎこちなくキメて、店員にウインクをした。 「そ、そこの坊や…私と遊ばない?」 「…………。」 な、なぜだ?昔見た映画のワンシーンで金髪美女はこうしてナンパしていたぞ? どうして店員は口と目を開いて唖然としているのだ?せ、せくしーぽーずが違ったかな? 永遠の時が流れたと思ったが、1分そこら固まっていた店員がプッと吹き出す。 そして不意に…きすをしてきた。 「~~~~~っ!?」 あまりに素早い犯行に拒絶する暇なく、一瞬で離れた唇は本当にきすをされたのか?偶然顔が近かっただけか?とも思う。 だが、人生で1度もキスしたことない数人は唇に残る甘い痺れと違和感を忘れることが出来なかった。 あれだけニコニコと笑顔の張り付いていた店員が雄の表情で数人を壁に追い詰める。 さりげなく膝で数人の急所を抑えていた。 「いいっすよ、あと一時間でバイト終わりますから。それからホテル行きましょ。」 「…………。」 これは…現実か??つい5分前まで談笑していた相手とホテル???事実は小説より奇なりか? 「お客さん、名前は?」 「あ、ああ、安堂…」 「ん、アンドウさん。俺に火を付けたのはあんたですから、逃げないでくださいよ。」 「………あ、ああ。」 そう言われたら責任問題だから…返事しちゃいけないはずなのに、非現実感に酔ってしまい、答えてしまった。 他に客はいないが、仕事の邪魔をしてはいけないだろうと逃げる口実を見つけて身をよじった時、店員は耳元で熱く囁いてきた。 「実は俺もずっとあんた犯したいって思ってたんですよ…?」 「ーーーーーーっ!?!?」 あ、あっ…ああ…出て、しまった…ぼいす以外の囁き声で…信じ、られない…。 だがその場でヘタりこんではいられない。 教師の意地と理性でなんとかフラフラと店からの脱出に成功した。 「…………っ!」 店の前の柱にしがみついて、まだ心臓の鼓動が収まらない。あと一時間で初めて他人とせっくすするんだ…こんなこと、ありえるのか? 「しゃ、シャワー、シャワー浴びないとだよな?」 混乱した頭は当分整理付きそうにない。それこそアンドロイドのように事務的に行動することで、なんとか理性を保つことにした。 ハジメテのせっくす………
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