えぴ37

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えぴ37

しばらく快楽の余韻に浸っていた数人であったが、生徒からの電話でハッと我に返るとそこからは180度切り替え、いつもの数人に戻るよう徹した。そうしないと、いつまでもテーマパークの土産屋トイレの中で英護を求めてしまうから… 「ああ、ああ。見つかったか、分かった。集合時間が近い。紛失には重々気を付けるように。」 その様子を英護は静かにニコニコ見守る。 電話を切り終えると数人が何か言う前に額に短くキスをして、そのまま小声で話す。 「とっても素敵でした。今はこれで解散スね。夜会えるの楽しみにしてるっス。」 「ああ…、こちらこそ。早く合流出来るよう努める。」 そうして何気なく衣服を整えようとすると… 「いっつう!!!」 これまで本気で声を押さえてきたのに思わず痛みに飛び上がってしまった。すぐ口を手で覆ったが心臓がバクバクする。慌てて英護も離れて顔を覗き込む。 「だっ大丈夫スか?」 自己分析するとこれはおそらく、体験から言わせてもらうと、いや現実的な問題に直面しており…ちくびを弄られすぎてただでさえ肥大化したちくびが腫れてしまった。 ほんの僅か布地が触れただけで無数の細かいトゲが刺さるような痛みにびっくりした。 「ばっ絆創膏…あるか?」 「いやっ持ってないスね…買ってきます!」 自由に動ける英護が積極的に行動してくれ、勢いよくトイレの個室を飛び出し勢いそのまま戻ってきた。 「買ってきました!!」 「ああすまない、ありがとう。今料金を…」 「いえ!俺がやり過ぎたのが悪いんス、ごめんなさい。これは俺に持たせてください。」 やはり金絡みは頑として引かない英護だ。 いつものように金を押し付けて自己満足するのもよろしくない。こちらも渋々だが最大限甘えることにした。パッケージが土産用なのか、ファンシーで可愛いキャラクターが散りばめられていて若干嫌な予感したが中身は無地の絆創膏であることを期待して受け取ろうとしたが、英護は渡さない。
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