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えぴ39
すごく悪いことをした気分だ…。
罪悪感でうつ向いて暗い顔をした数人とは対照的に英護は元気いっぱいに出迎えた。
「いらっしゃい安堂さんっ♪」
こうしてみるとやはり、お腹いっぱい焼き肉を食べているからだろうか英護の肌ツヤがとても良い。おじさんなら胃もたれ確定なのに…若いってすごい。
「ああ…。」
無意識に胸元を隠すようにして英護のあとをついていく。修学旅行最後のセ○クス。どれだけ気持ちいいものかと楽しみで仕方ない数人だが、部屋の奥を見たらさすがにメガネの奥で瞳をギョッと剥いた。
お世話になったベッドではなく床の上に毛布が丁寧に広げられていた。鈍感な数人でもこの毛布の上で一体ナニをするのか、想像するだけでワクワクしてしまう。
数人が立ち止まったことに気づいて英護が振り返る。
「あー、こっちは後で使いましょ。まずはベッドに腰掛けて、お疲れ様でした♪」
「ああ、ありがとう。」
流れるようにコートを預かられ、言われるがまま数人はベッドの端に座る。それにしても視界の端の毛布が気になって仕方ない。あの上でセ○クス…!?突き上げられる衝撃で徐々に乱れる毛布を妄想するとムラムラして腰の辺りが疼いてしまう。
ジャケットを脱いでいそいそとネクタイを緩めていると、ようやく英護が空間を開けず真横に腰掛けた。いつもの笑顔だが彼もまた、どこか暗い表情をしていた。心配で声をかける。
「どうかしたか?」
「いや、昼間はやり過ぎたなぁって…乳首痛いでしょ、安堂さん。」
「ん、まあ…そうだな。」
なんだかとっても嫌な予感がする。
今ちくびを見られたら赤く腫れているだろう。それを見て彼は誤解で罪悪感を抱くか、私の真の行いに気づくか…どちらにせよ良い展開が思い浮かばない。背筋にヒヤリ冷たい雫が垂れた気がする。極めつけは彼の手中に収められた小さな箱だ。
「それは…?」
「軟膏っス。安堂さんの乳首いじめ過ぎた俺の責任スから。さ、塗りますから脱いでください?」
なんて丁寧な死亡フラグ。良くない、非常によろしくない。愛想笑いで誤魔化す数人の額には濃い脂汗か滲んでいる。挙動不審なレベルで眼球はプルプル泳いでいた。
だ、だめだ。何か言い訳しないと怪しまれてしまう。どうにかして彼にちくびを見られないようにしないと…追い詰められた脳細胞をフル回転させて慣れない嘘を考える。
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